宿泊

stay report

女将さんのおもてなしが売りのアットホームな民宿 〜藤原民宿〜

みなさん、こんにちは!カタヤマです。

年が明けたと思っていたら、1月があっという間に過ぎ、気が付けば2月に突入しました。
大槌では1月中旬ごろに積雪があり、あたり一面が真っ白になった日もありました。この冬、大槌は雪が降っても積もらない事が多かったため、雪景色がより一層貴重なもののように感じます。

私・カタヤマは、2021年春から大槌町にIターン移住しました。現在、ブログやSNSを通して、外から来た人の視点で新鮮に感じたことなど、地域の魅力を紹介する業務を担当しています!

この「民宿レポ」では、お宿の雰囲気や魅力、民宿ではどのように過ごすことができるのか、実際に宿泊体験をして、紹介していきます!今回は第4弾です!

大槌町内の各宿の基本情報についてはこちらからご覧いただけます↓

https://otsuchi-ta.com/stay

 

「藤原民宿」のおすすめポイント

吉里吉里地区に位置する「藤原民宿」

1、女将さんの人柄

民宿を営む楽しみは「人との出会いが面白いこと!」と語る、おしゃべり上手でユーモア溢れる女将さんです。

2、全品手作りのこだわり料理

タレや味付けもご自身で研究し、作られたこだわりのお料理と、女将さん手作りの漬け物や梅干しも絶品です。

3、隠れ家のようなお宿

お花や植物が玄関先や室内の廊下など各所に飾られ、どこかホッとする癒しの空間が広がります。こぢんまりとした隠れ家のような小さな宿で特別な時間をゆっくり楽しめます。

藤原民宿さんはこれまでご紹介した「民宿」さんとはちょっと違った特徴があります。

というのも、お宿の作りとしては、女将さん自身が暮らしている「一般住宅の中に民宿的要素が入ったお宿」と、イメージしていただけたらと思います。女将さんの生活空間と、客室は廊下で仕切られています。

東日本大震災をきっかけに「また民宿を始めよう」と決意され、2018年に今の場所で再開されました。再建するにあたって、「住宅兼民宿」として再開できるよう、建築設計士の方と相談しながら、設計されたそうです。

また、復興支援の一環として、大槌町のお子さんの作文を原作に作られた短編映画「未来のカケラ」の撮影が行われた場所でもあります。
(このレポートの最後に、動画のリンクを載せておきますので、ぜひ一度ご覧になってみてください!)

玄関入ってすぐ横が客室です。和室のお部屋(8畳)でした。
藤原民宿さんでは、予約の受付は、1日1組(最大5名)と限定されています。女将さんはお一人で民宿をされているので、受け入れる人数も限定しているとのことでした。

客室は全部で3つありますが、うち1つのお部屋(写真のお部屋)はお食事専用です。
残り2つのお部屋が就寝用のお部屋としてわけて用意してくださいます。

「1日1組」と言われるとレア感がありますね。

他のお客さんのことを気にせず過ごすことができるのが、他の周辺の民宿とは異なる魅力だと思います。
連休などに宿泊を希望される方は、早めのご予約をお勧めします!

藤原民宿に宿泊してみた!

さて、いよいよここからが本題です!

前置きが長くなってしまいましたが、恒例の「宿泊体験記シリーズ」として、チェックインから翌朝まで過ごした流れに沿って、ご紹介していきます!

(長くなりますが、ぜひ写真だけでもスクロールして見てみてください!)

<1日目>

▶15:30 チェックイン

宿泊したのは11月中旬頃。寒くなってきている時期でしたが、玄関先の彩豊かな植物に癒されました。

建物の特徴的なデザインが再現されたロゴ入りの暖簾(のれん)。とてもお洒落です。

玄関入ってすぐにもお花があります。お話する前から「女将さんはお花が好きな方なのかな?」と人柄が伝わってきます。

窓から中庭を見ると、柿が干されていました。季節感があっていいですね。

女将さんが「いらっしゃ~い」とニコニコ笑顔でお出迎え。そのままお部屋に案内され、いただいた用紙(宿帳)に沿って必要事項を書いて、チェックイン完了…と。

お部屋に入って落ち着いた頃、初めに夕食の時間を聞かれました。
私は特にこだわりがなかったので、女将さんにおまかせし、少し早めの18時半頃夕食になりました。

お客さんは私だけのようでしたが、にぎやかな笑い声が聞こえます。

どうやら女将さんとお友達が「お茶っこ」をしていたみたいです!
(女将さんは交友関係が広いようで、お友達がご自宅にお茶しに来ることはよくあるようです!親しみやすいお人柄が人を呼ぶのかなと、ほっこりします)

さて、日が落ちる前に、一人でサクッと外に出ることにしました!

▶16:00 散策

すぐ暗くなりそうだったので、周辺を15分ほど散策しました。

藤原民宿さんから海に向かって歩いていく途中の景色です。

この上は線路になっていて、三陸鉄道が走ります。タイミングよく見られればよかったのですが、時間を調べていなかったので翌朝にチャレンジしてみることにします。

北は「久慈」まで、南は大船渡の「盛」まで行きます。

電車をみるタイミングとしては、だいたい1時間に1本ですね。

線路下のトンネルの先に海が見えてきます。「吉里吉里海岸」です。

私には、先に見える景色が、まるで額に入った絵画のように見えました。

日が傾き、山の影が落ちてきました。暗くなるのが早いですね。
暗くてわかりづらいですが、左手にあるのが「吉里吉里フィッシャリーナ」です。お宿から吉里吉里フィッシャリーナまで徒歩9分程度です。

下まで降りる道まで、ぐるっと回り道しないといけません。目の前に見えていますが、案外徒歩だと遠く感じたので、ずぼらな私は翌日、車で行って撮影しました。

吉里吉里フィッシャリーナの一番海に面している先の方まで行くと、海に囲まれている感覚になれるスポットがあります。(翌朝に撮影↓)

吉里吉里フィッシャリーナ

昨年の5月頃、移住してまだ間もない頃に初めて立ち寄った時、その場所に立ち、海風を全身に浴びてとても気持ちよかったのをいまでも覚えています。

特に海に馴染みのない場所から来られる方はぜひ先の方まで行くのをおすすめします!

きっと、海の透明度の高さにも驚くと思います。

吉里吉里フィッシャリーナ

海の底まではっきり見えそうなほど綺麗でした。

吉里吉里フィッシャリーナ

ぜひ明るい時間に立ち寄る時間があれば、ぜひ行ってみてください!

フィッシャリーナは、震災から10年後の2021年に工事が終わり、同年6月に「サーモン祭り」が開催されました。
イベント当日の様子はこちらです↓

https://www.facebook.com/otsuchiTA/posts/1276683312801661

振り返ってみると、まだ木々の色が残っている季節でした。

空が広く、青空と白い雲と緑やオレンジ色の山の色合いのコントラストがとても綺麗です。
周辺には商店などがないからか、忙しない日常から離れ、ここではゆったりとした時間が流れているような気がします。

太陽が山に沈んでいき、建物にも影がかかってきました。
中央の右寄りに写っている三角屋根が「吉里吉里小学校」だそうです。現在は「吉里吉里学園小学部」ですが、地域の方にはまだかつての名前でも親しまれています。

暗くなる前にお宿に戻ろうと、引き返していた途中にベンチがありました。近くにバス停がある訳ではありません。

「なぜ?誰が?ここに置いたのかな〜?」
「地元の人が座って休憩しているのかな〜?」
道端にポツンと置いてあると、そこにはどんな物語があるのかふと気になって想像を巡らせ、じんわりと温かい気持ちになります。
お越しの際はぜひ、このベンチも探してみてくださいね。

今回は日が沈んでしまうので短めの散策でしたが、翌朝チェックアウト後にも周辺を歩くことにしました。

▶16:30 お部屋に帰宅

帰ってきたら、お部屋の暖房がついていて暖かかったです。(女将さんありがとうございます)

湯沸かしポットにお湯があり、机にはコーヒーやお煎餅もありました。ちょうど小腹が空いてきた頃だったのでとても美味しくいただきました。また、除菌のウェットティッシュも置いてあります。

どちらもさりげないおもてなしですが、心遣いが丁寧で、心が温まります。

この記事の取材で、民宿泊を何度か経験しているうちに、きっとこの後は、夕食前にお風呂に入るパターンだろうと予測を立てていました。…正解でした。

女将さんから「お風呂が湧けてるよ、どうぞ~」と、言いながら室内着を渡されました。

お、浴衣かなと思っていたら、ここは予想が外れました。

なんと、「藤原民宿」のロゴ入り作務衣でした…!

「…可愛いですね!!」と思わずすぐに口に出ちゃいました。
女将さんは照れくさそうに「いいだろう~?柔くていいんだ~」と。

暖簾のデザインと同じロゴが入っていました。(写っていませんが、下はズボンスタイルになります。)

とても優しい肌ざわりで、ちょっとしたポケットもついていました。

他のお宿さんにあったアイロンがけされているピシッとした浴衣でもテンションあがっていましたが、柔らかい質感の作務衣はまた最高でした。

締め付ける帯もないので、これで夕飯はお腹いっぱいに食べることができそうです。(ある意味食べすぎになるリスクがありますが…(笑))

▶17:00 入浴

さて、お風呂です。

私は、夕食前のお風呂の気持ち良さを知ってしまったので、勧められたタイミングのまま入ることにしました。(希望時間があれば、お風呂の時間も臨機応変に対応してくれそうでした。)

廊下の先の方に、洗面所があり、流しが二つあるので複数人で泊まる際も混雑が避けられそうです。洗面台にはタオル、歯ブラシ、綿棒などのアメニティから化粧水・乳液などのスキンケア用品も置いてありました。

洗面所の手前を右手の方に行くと、男女別のお手洗い。

さらに、進んだ先にお風呂がありました。

こちらも最新式で綺麗でした。

お待たせしました、浴室です↓

とっても、綺麗です…!なんと、窓の先に小さなお庭が見えるのです。

以前に撮影しに来た時は夏で、紅葉の葉が青々としていて、今回は少し赤やオレンジ色が加わり、紅葉していました!グラデーションがとても綺麗で、お風呂でも季節の変化を感じられます。なんとも、贅沢ですね。

お風呂の大きさとしては、親子2人程度なら十分な広さがあると思います。
私は足を広く伸ばすことができました。

お風呂の蓋を開けてみると、驚くほどたぷたぷのお湯が張られていました。写真から伝わりますか?

湯量を間違えたのかな?と心配になりましたが、後から女将さんに聞いてみると、「溢れるくらいがしっかり肩も浸かって気持ちいいだろう~?」と笑顔で答えてくれました。

(女将さん、太っ腹ですね~!サービス精神旺盛すぎませんか?笑)

自宅でこんなにたっぷりのお湯に浸かることがないですが、温度は42度で少し熱めで、冷えた身体に沁みました。

シャンプーやタオル、メイク落とし全て用意があるので、忘れてしまっても大丈夫そうです。(シャンプーとコンディショナーが2種類ずつあったので、自分の髪質に合ったものを選べると思います!)

ドライヤーも洗面所に置いてあるものを使わせていただきました。

▶19:00頃 夕食

お風呂からあがり、ポカポカ状態だったので、少しの間、お部屋でまったりしていました。ゆっくりしていると、夕食の支度ができたとのことでした。

藤原民宿さんはお部屋で食事をいただきます。(冒頭にも書きましたが、寝る時は別の部屋に移動します)
女将さんがお盆に乗せて、お部屋まで運んでくださいました。

目の前には彩豊かで目が釘付けになるほどのお料理が登場しました。

このお盆の上だけでも9品。
さらに加えて、お櫃に入った白米と汁物が届きました。

お茶碗一杯で十分だと思っていましたが、目の前にお櫃ごと届くと気軽におかわりができます。(ある意味危険です…笑)

よそった時からわかりましたが、炊き立てのふわふわの白米でした。これは止まらないやつですね。

上の方にあるのがちょうど季節の「松茸」のお吸い物でした。
今年は不作の年でしたが、旬のものを味わってもらいたいと出してくださいました。

香りづけだけでも十分美味しく感じますが、お吸い物には贅沢にかなり大きい状態で松茸が入ってました。絶品でした。

なんと、さらにもう一品加わりました。(え、何品出てくるの…!?)ホタテのバター焼きです。
熱々のものを食べてもらいたいと、お盆で運んだものとは別に用意されていたそうです。

豪華すぎて驚きました。
いくら旬のものが味わえると言ってもこれは贅沢すぎないかと、心配になるほどに。

食べ始める前に、皆さんもお気づきでしょうか。
ど真ん中にカニがいました。

地元の方はカニの食べ方は当然知っているものでしょうか?
食べるとしても中の身が出ている状態で、丸々出されるとどうやって食べたらいいかわかりませんでした。。

慌てて女将さんが戻る前に、食べ方を教えて欲しいと聞きました…!

甲羅が硬く、素手では難しく、コツがいるのかと思ってましたが、女将さんは素早い手つきであっという間に食べやすい状態にまで解してくださいました。

あまり手際が良すぎて気がつけば終わってしまいました。(一枚だけやってくださっている様子を撮影できました)

【1泊2食で7,700円(税込)】ですよ、衝撃的なコスパです。

アップの写真を撮り忘れていたのですが、左上が「ちゃんちゃ焼き」だそうです。
サーモン、ネギ、シメジが入っていました。

北海道の郷土料理「ちゃんちゃん焼き」と同じもののようで、以前、本場の北海道の方が泊まりに来たときに、「他のお野菜を入れると水っぽくなるからシンプルに野菜はネギだけにした方がいいよ」と教わったそうです。

お客さんとの交流から生まれた料理が、また交流へと繋がっていくなんて、とても素敵です。お料理への女将さんの思いも伝わってきます。

お漬物やお刺身、酢豚の炒め物、どれも美味しくてお箸が止まりませんでした。

普段あまり白米は量を食べない私ですが、おかずも白米も美味しかったのでおかわりを2回しました。
お櫃に入っているのでずっとホクホクのお米が食べられるのも嬉しいですね。

後から取材で聞きましたが、スーパーで売っているような既製品を使わず、「全て手作りのものを出す」ことにこだわっているそうです。

何だかんだ既製品に頼ってしまいがちな私には、全て手作りすることの大変さが身に沁み、
手間暇とおもてなしの心を込めたお料理が、さらに美味しく感じました。

完食は難しかったですが、せっかくのお食事をできるだけ残さず食べたいなと思い、ゆっくりと時間をかけ、休憩を挟みながら頂きました(笑)。

この日は1人で黙々と食べ進めましたが、わいわいお話しながらの食事なら、もっとたくさん食べられそうな気がしました。

次来る時は、ぜひ友人や家族と泊まりたいなと思います!

▶20:30頃 食後

食べ終わった頃を見計らって食器を下げにきてくださいました。

「隣(のお部屋)に布団敷けたから好きなタイミングで移動してくたんせ〜」
(「くたんせ〜」=「してください〜」)

移住してしばらく経つのであまり気にならなくなっていましたが、女将さんはバリバリの方言でお話しされます!
初めの頃は聞き取れていないこともしばしば。
でもそれがまた自分の馴染みのない地域に来たことが感じられて、聞き取れないことあればあえて聞いてみてみるのも楽しいです。

お腹いっぱいの幸せを感じつつ、寝る前の支度を進めておこうと洗面所に向かいました。

アメニティの歯ブラシと、宿泊客用と思われる紙コップがあったので、そちらを使わせていただきました。

民宿泊を何度か経験し、慣れてきて、今回は飲み物を前もって購入しておきました。
藤原民宿さんだと、コンビニまで徒歩12分の距離なので、歩いて行くこともできる距離ではあります。

夏なら心地よい夜風を感じることもできると思いますが、冬はお風呂上がりに寒い外に出る気にならないと思うので、事前に準備しておくのがおすすめです。

▶22:00頃 就寝

食事のお部屋から隣に移りました。
翌朝にまた朝ごはんに元の部屋に戻るので、荷物は移動しなくてもいいかもしれません。着替えなどもあるので私は荷物ごと移動しました。

満腹の状態の時に自分で敷く必要がないのは、また有難いですね。あとはそのまま寝るだけ…。
(満腹に食べて、さらに寝て、、、明日は朝の散歩で消費できればよしとします。)

お布団は新しそうなものでした。2重に重ねてくださっているのもあり、フカフカでした。よく眠れそうです。

<2日目>

▶6:30 起床

身支度を済ませて、隣の部屋へ移動しました。

こちらの部屋は東側に向いていて、朝日が差し込みます。朝日を感じられるお部屋は気持ちがいいです。

中庭に差し込む日差しも綺麗ですね。

▶︎7:00 朝食

もっと遅めの時間を希望することもできます。
私は朝の散策の時間も取りたかったので7時でお願いしました。

朝ごはんもまた彩が綺麗でした。

朝からこの品数を準備していただいてありがたい限りです。

右下にあるのは女将さんお手製の梅干しです。蜂蜜も加えられていて甘めの梅干しでした。
あまり食べたことがないような味でしたが、癖になりそうなほど美味しかったです。

ところで、皆さんは、この器をご覧になったことありますか?

「卵かけご飯の卵を溶かすための器」だそうです。
卵を取って、上の器は蓋のようになっています。

使用用途が「卵を溶かす」というピンポイントさ!可愛くて気に入りました。

思わずアップで撮影してしまいました。

夜もたくさんいただいたのに、朝もしっかりいただきました。ご馳走様でした!

▶︎8:00 三陸鉄道(三鉄)の撮影

列車の時刻表を見るのを忘れていたので、google mapで検索をしました。
最寄り駅は「吉里吉里駅」ですが、そこまで徒歩15分です。

調べると、8:04に吉里吉里駅から大槌駅方面に向かうようなので、その少し前の時間に列車が通るだろうと、8:00ぴったりに線路脇に待機することにしました。

藤原民宿の玄関から降りてすぐの場所が線路スポットです。

上に上がるとこんな感じです。右側が線路です。そして数分待機していると…

8:03 三鉄列車が来ました!!カラフルなポケモンデザインの列車でした。青空にめちゃくちゃ映えてますね。
正面に「盛」行きと書いてあります。

こちらは列車の後ろ顔。「行ってらっしゃ〜い」と見送りました。
線路の下のスポット、やっぱり好きな景色です。

光が差し込み、夕方に見た時とは違う場所のようにも見えます。
よく見ると、橋に名前がありました。「北田架道橋」というそうです。

戻ると、ちょうど日差しがお宿全体に当たっていて、また綺麗でした。木に掘られている看板も素敵です。

ぬくもりあるお庭は、女将さんやご家族がお手入れされている姿が思い浮かびます。

こちらは鳥用のエサでしょうか。どんな鳥が来るのか気になります。
きっと春の季節は、より一層色鮮やかなのかなと、他の季節にも来てみたくなります。

▶︎9:00 チェックアウト

荷物をまとめて、宿を出てから運動がてら周辺を歩くことにしました。
ご挨拶して、出ようとしたら、女将さんは外までお見送りしてくださいました。
(ごく自然に)

女将さんから「またおいでんせ~、来てくなんせ~」と言っていただきました。
(=「またおいでください~、来てください~」という意味だそうです。)方言が可愛らしいです。

こういう丁寧なおもてなしの一つ一つが本当に嬉しく、訪れた方の思い出に残るのだろうと思います。

女将さんから元気をもらったところで、お別れしました。

▶︎9:30~ 吉里吉里駅周辺を散策

吉里吉里駅までは、藤原民宿さんから徒歩15分ほどです。

散策するにはちょうど良い距離感です。

吉里吉里駅

歩いていると、神社がたくさんあったことに驚きました。

天照御祖神社

紅葉が綺麗だったので少しだけ立ち寄りました。

懐の深い女将さん

今回の宿泊を通して、私は女将さんの「懐の深さ」を感じました。

後日、もう一度訪問し、民宿を再開するまでの経緯や女将さんのこだわりなどを聞いてみました。

「本当はもう民宿はやりたくないと思っていた。」

いつも笑顔の女将さんから、そんな言葉が出た時は驚きました。
1976年から約10年ほど、今の女将さんが2代目として民宿を引き継いで経営され、多くの海水浴客の受け入れ、当時は生まれたばかりのお子さんを抱えながら、営業していたので忙しい日々を送っていたそうです。

私には、それがどんなに大変だったことか想像もつきません。

その後、1987年頃、家庭の事情でこのまま続けていくのは難しいと判断し、お宿を約20年間閉じたそうです。当時の忙しさを考えると、「もう民宿は再開するもんか」とまで考えていたと。

2011年、東日本大震災が発生。
当時はとにかく「泊まるところがない」。他のお宿さんに泊まった時にも耳にした言葉でした。

災害ボランティアの人が来てもらっても、食べるところも寝るところもない状態だったと。そんな中、「民宿を再開できないか?」といろんな人に声をかけられ、しばらく悩んだ末、再開を決意したそうです。

今では「民宿は『ボケ防止』にやってるんだ~」と笑いながら話す女将さん。

きっとこの裏に抱えている想いはたくさんあり、ここに至るまでに多くの葛藤や決断…そして「女将さんの人生」があったのだと感じ取りました。

最後に、シンプルに「民宿をやっていて、何が楽しいですか?大変なことはありませんか?」と聞いてみました。

「いろんな旅の人との出会いがあるのが面白い」

民宿をやっていると、ここに住んでいるだけでは出会わないような人との出会いがある。
食事では、手に入れば、大槌の旬のものや、少し値が張っても本当に美味しいものを出してあげたいと思っている。

何か失敗しても、帰っていく時、喜んでくれる姿を想像するようにして、お客さんをもてなすこと。「泊まってよかった」と最後には思ってもらいたい。

「大丈夫、何とかなるさ!」

女将さんの、どっしり構えるエネルギーや、懐の深さを感じさせるお話でした。
話している中で、これまで泊まっていったお客さんとの思い出なども話してくださいました。懐かしそうに、そして時には豪快に笑って見せながら語る女将さん

お客さんとの出会いが、何よりも女将さんの元気の源なのかもしれません。

この記事を読んで、藤原民宿に泊まりたいなと思った方へ

ぜひ女将さんに話しかけてみてください。
女将さんはお客さんにゆっくり過ごしてもらいたいという思いから、あまり話しかけず、そっと見守ることもあるそうです。
ですが、地元の方との交流を求めて民宿を選ばれたのなら、ぜひ勇気を出して、話しかけてみてください!
「このお料理、美味しいですね」「このお花、素敵ですね」…そんな小さなきっかけでいいと思います。

あとは女将さんがきっと、うまくお話を盛り上げてくれるのでご安心ください!

最後までお読みいただきありがとうございました。今回、散策したスポットをマップにまとめました。
ぜひお泊りになる際などに参考にしてみてください👇

三陸沿岸地域は比較的温暖と言われ、雪が積もることは少ないですが、来られる際はしっかりと防寒対策をしてお越しください!

◆藤原民宿さんの情報はこちらから↓

そして、次回の民宿体験記は…「民宿六大工」さんです。
これまでご紹介してきた民宿がある吉里吉里・浪板地区を離れ、「大ヶ口地区」という大槌の住宅街の中にある民宿さんです。また違った大槌町の民宿の魅力をお伝えできたらと思います。

次回もお楽しみに!

◆短編映画「未来のカケラ」はこちらから↓