宿泊

stay report

幕末から続く老舗旅館。穏やかなご夫婦が営む「絆」の宿〜小川旅館〜

みなさん、こんにちは!カタヤマです。

年度の変わり目の時期になり、何だかソワソワする時期です。今抱えているものにきちんと区切りをつけて、気持ちよく新しい年度を迎えられるよう頑張るぞと気が引き締まります。

私・カタヤマは、2021年春から大槌町にIターン移住しました。現在、ブログやSNSを通して、外から来た人の視点で新鮮に感じたことなど、大槌の魅力を紹介する業務を担当しています。

ありがたいことに民宿体験シリーズを多くの方に読んでいただくことができ、さらに「うちの宿でもやって欲しい」という声をいただき、今回は民宿ではありませんが、続編として「小川旅館」さんを紹介させていただくことになりました!

大槌町内の各宿の基本情報についてはこちらからご覧いただけます↓

https://otsuchi-ta.com/stay

小川旅館のおすすめポイント

1、コンビニ、大型スーパーが近い好立地
コンビニまで徒歩5分、大型スーパーまで徒歩10分、大槌駅からは徒歩15分と、車がない方でも利用しやすい立地です。

2、バランスの採れた手作りの家庭料理
栄養士資格を持つ女将さんのバランスの摂れたお料理と気まぐれお手製お菓子が絶品。

3、ご主人と女将さんのお人柄
穏やかな雰囲気のご夫婦がお出迎え。お客様とのつながりを大切にする「絆館」

小川旅館に宿泊してみた!

小川旅館さんは、幕末から震災前までは大槌駅の近くで、震災翌年からは現在の場所でお客さんとの「絆」を大切に営業を続けられています。記事の最後には、いまの「小川旅館 絆館」に至るまでの想いをご紹介します。よろしければ最後まで目を通していただければ嬉しいです。 

実際に筆者が宿泊した流れでご紹介していきますので、ぜひ想像しながら読んでみてください。

<1日目>

 ▶︎16:00 チェックイン

まずは入り口から。手前は手動の扉で、奥が自動ドアです。

入ると正面にフロントがあります。ご主人が車が来たのに気づいて、フロントに立って待っていてくれました

これまで他のお宿にも泊まってきましたが、入ってすぐ、お宿の方がお出迎えしてくださったのは、案外今回が初めてだったかもしれません。(お出迎えされるのは歓迎される感があって嬉しいものですね。)

入って正面には大量の色紙とぬいぐるみがずらっと…!(インパクトがすごい)
色紙から、たくさんの有名人の方が訪れているのがよくわかります。お時間の有る方は、ぜひゆっくり見てみてください!

女将さんによると、「子どもたちがゲーセンで取ったぬいぐるみたちをここに置いていくんだよ〜」と。
最初はたくさんのぬいぐるみに驚きましたが、お子さんたちがお母さんを喜ばせようと集めている様子が目に浮かび、あったかい気持ちになりますね。

私が宿泊したのは2月末ごろ。3月3日のひな祭りを前に、お雛様も飾ってありました。

玄関に自動販売機を発見。ソフトドリンクやコーヒーが入っている自販機と、アルコール類がある自販機の2種類。

お宿さんの中に自販機があるのは、寒い時期にわざわざコンビニに買いに行く必要もなくいいですね。お食事の際に、アルコールなど欲しい方はこちらで購入するスタイルのようです。(ビール以外に酎ハイもありました)

▶︎16:30 お部屋

必要書類を記入し、チェックインを終えると鍵を渡され、2階に上がります。フロントすぐ右手の方に階段があります。

階段は、少し段差が高めに感じました。手すりがありますので、心配な方はゆっくり登ってくださいね。

小川旅館さんは洋室と和室の2種類あります。これまでご紹介したお宿では和室のみだったので、今回は洋室に宿泊させていただきました。(※和室か洋室かで金額が異なります)

私が宿泊するお部屋は、階段上がってすぐ手前のお部屋でした。

入った瞬間、「おお、可愛い!」
レトロなベットカバーがカラフルで、部屋全体が明るい印象を受けました。

洋室は、ツインルームとシングルルームの2種類あります。
お部屋にはデスクとチェアもあって、ちょっとした作業ができそうなスペースがありました。洋室はおしゃれでホテルのような雰囲気です。

カーテンを開けると、周辺には住宅があるのが見えます。
チェックイン時に女将さんに「夜、この辺りは真っ暗になるから星空が綺麗ですよ〜」と言われました。

確かに大きな建物もなさそうで、綺麗だろうな〜…!

ベッド側から入り口を見るとこんな感じです。大きめの鏡があります。(なくて困るものではありませんが、)身支度をするとき、あると嬉しいですね。

デスクにはテレビとフロントに繋がるであろう電話もありました。

リモコンにはラップがかかっていました…!感染対策を徹底されています。

消毒済みと記載のあるビニールに入った湯呑みとガラスコップもデスクにあります。映ってませんが、隣にお湯の入ったポットがあったので、好きなタイミングで緑茶を飲むことができます。

お部屋の壁紙はお花柄です。後から聞いたら、お部屋の柄などは女将さんチョイスだそうです。柄の効果で優しい印象を受けます。

入り口手前にもう一つ扉がありました。トイレとシャワーでした。(洋室のみお部屋に水回り付きのようです)

シャワー室の様子です。歯ブラシや剃刀などのアメニティはこちらにありました。

共同お風呂に抵抗がなければ、せっかくならお湯に浸かる方がいいのかなと個人的には思いました。

お部屋のチェックを一通りできたので、カタヤマはwifiパスワードを探し始めました。テレビ横にはピンクのファイルを発見。

ファイルを開くと、まず1ページ目に「避難経路」の説明がありました。
このように見える化していただけると、初めての滞在でも館内の作りが一目でわかりますし、いざという時に備えられます。

宿泊時につい確認を忘れてしまいますが、お宿さん任せではなく、私たち泊まる側も防災意識を持たなければ…と改めて思いました。

ページをめくると…、あっ!wifi情報がありました。
フロントに戻って、わざわざ聞きに行かずともお部屋でこの情報を得られるのは地味に嬉しいです。

小川旅館さんの「サケ餃子」の商品情報もありました!
三陸産の鮭のミンチで作ったサケ餃子は脂身が少なく、ヘルシーでさっぱりとした味わいの餃子で、お魚があまり得意ではないお子様でも食べやすいそうです。
大槌町のふるさと納税の返礼品としても出されています。ぜひ検索してみてください!)

▶︎17:00 お風呂

夕食を19:00にしていただき、それまで時間があったので、先にお風呂をいただくことにします。
お部屋のベッド横にタオルと浴衣がありました。

浴衣には「小川旅館」の宿名入り。袖があるタイプの羽織もありました。

お風呂は男湯と女湯に分かれている、共同のお風呂です。男湯と女湯とでは浴室の広さが異なります

男湯はお仕事で泊まりにくる方が多いため、複数名一度に入ることができる広さがあり、女湯はユニットバスタイプでした。女湯についてご紹介します。

1階の突き当たりに女湯マークを見つけました。隣に女性用トイレもあります。

脱衣所の様子です。

床からの冷えを感じましたが、電気ストーブがあったので、使わせていただきました。

一般家庭のような浴室でした。全体的にピンクを基調としていて、温かみのある色味です。

驚いたのが、お湯の温度と量です。蓋を開けたらギリギリのところまでお湯が溜まっていました。

かなり熱め&たっぷりの湯量でした。

私が一番風呂で浴室の床面が冷たかったので、浴槽のお湯を掬って床面を温めることにも使わせて頂きました。(少し減ったところで、後から少し水を足してお湯の温度を調整しました)

後からご主人に聞いたところ、「熱ければ後から水を足して調節できるように」と、あえて熱め&たっぷりの湯量にして下さっているそうです!
(勝手に調整してもいいのか少し不安でしたが、熱いのを我慢する必要はなかったようですw)

浴室にあるシャンプー類や洗面所にあるアメニティは自由に使っていいものだそうです。クレンジングなど一通り揃っていてありがたいですね。

ドライヤーは脱衣所に常備されていました。フロントでの貸し出しもあるそうで、お部屋で乾かすこともできます。
髪が長く、乾かすのに時間がかかる方はその方が、次の人のことを気にせずに済むので気が楽かもしれませんね!

ちなみに男湯がこちらです↓

男湯は数名一度に入ることができる広さです。シャワーヘッドは3つあるので、合宿利用でもお風呂時間の混雑が緩和できそうです。

▶︎19:00 お食事

小川旅館さんでは、お客様の希望に合わせて2つのお食事プランを用意されています。
地元の食材を活かした品数豊富な「オール三陸絆御膳プラン」と、小食の方向けの「美味少量プラン」があります。

品数や量の違いがあるそうです。量を食べることができない方は、「美味少量プラン」がおすすめです。
詳しくは、ご予約の際に問い合わせてみてください!

(写真は「オール三陸絆御膳」です)

品数が豊富すぎて、どこに目をやったらいいかわからなくなるほどの豪華な御膳です。

左側から、松茸ご飯、ホタテ、牡蠣、蟹、筑前煮、メカブ、いくら、ホヤ、刺身、ブリ、お鍋、、、とても贅沢なメニューです。

参考までにプランごとの金額も記載しておきます↓(洋室の場合)
ー「オール三陸絆御膳プラン」一人10,500円(税込)
ー「美味少量プラン」一人8,800円(税込)

奥がキッチンとなっていて、食事を食べている間はご主人と女将さんがキッチンからそっと見守っていてくださっていました。

食堂は縦に長い空間となっています。奥の方にテレビがあります。

メニューについては食堂にあるホワイトボードに記載されていました。
(これ何かな?とちょっと気になった時に、見える化されているのは嬉しかったです)

絆御膳には毛蟹が丸々1杯ありました。(今は毛蟹のシーズンのようです)

いくらシーズンだからといっても、かなり贅沢ですね。

体が温まりそうなお鍋と、松茸の炊き込みご飯も。

1杯目が炊き込みご飯で、2杯目以降は白米をどうぞ〜と、後からお櫃が出てきました。

温かい状態で食べてもらおうと、タイミングを見計らってご主人が出してくださいます。

(どうやらお食事中のお客さん対応はご主人がされるようです。女将さんを気遣って、役割分担されているのかな?と思うと気持ちが温まります。)

女将さんに、「お好みでメカブ、いくら、お刺身を白米に乗せて、海鮮丼にすることもできますよ〜」と席についた時に言われたのを思い出して、自分で海鮮丼を作りました。

あえてお客さん自身のタイミングで盛ることで、ホクホクの温かいご飯の上に、自分の好きなものを乗せられます。より一層美味しく感じました。

品数が本当にたくさんあるので、白米も進み、限界まで食べ続けていました。(他のお宿さんもですが、やはり量がたっぷりあるので、ぜひお腹を空かせて来られるのをお勧めします!

▶︎20:00 ドローン映像鑑賞会

お食事が食べ終わった頃、ご主人に突然「ドローン映像をみてみるか?」と聞かれました。

なんと、ご主人が自ら撮影したドローンの映像をみせてくださるとのこと!
「ぜひお願いします〜!」とお答えすると、着々とプロジェクターの準備を進めるご主人。

食堂の天井からスクリーンが降りてきました。

(スクリーンは合宿などで宿泊するお客さんへの貸し出しをすることもあるそうです。スポーツ合宿だったらプレーの振り返り用、ゼミ合宿だったらプレゼン用として使ってもらえたらとお話されていました。)

ドローンで撮影した映像をプロジェクターで見せてもらいました。

最初の映像は、大槌町出身トランぺッター・臺隆裕さんのオリジナル曲をBGMにしたもの。編集は、そのお父様で、大槌町で音楽を使った町おこし等に取り組まれる(一社)槌音 代表の臺隆明さんが手掛けたそうです。

息子さん同士が同級生だったご縁がきっかけとなり、「地域の人が力を合わせて出来上がった映像作品なんだ」と、ご主人は誇らしげにお話されていました。

youtubeに映像が公開されていたので、よければぜひ↓

穏やかな心が洗われるような心地よい音楽と共に、大槌町の町全体が眺望できるような映像になっていました。

携帯で気軽に見ることもできますが、プロジェクターの大きな画角で見るとさらに映像の迫力を感じられます。お泊まりの際はぜひ観ていただきたいと感じました。

大槌駅周辺もこうして見ると緑が多いことに気付かされます。大槌町を上からみる機会はなかなかないので、貴重な体験でした。

他にもご主人が撮影された映像を次々とご紹介いただきました。

こちらは蓬莱島です。陸側の姿しか観たことがないので、反対側から見ることができるのはまた面白いです。遠方から来られる方も、地元の方も楽しめそうな映像ばかりでした。

これらの映像を通して、大槌町は「海と山に囲まれ自然豊かな町」であることを再認識できました。

普段は車で通る道路で土地を理解しているので、町中を流れる大槌川と小鎚川を上からの映像で見た時に、「そっか、大槌町ってこんな地形をしているんだ」と、知っているけれど知らない土地に訪れたような感覚になりました。

大槌町に初めて来られる方は、映像を見てから町中の位置関係を把握してからお出かけするのもまた新しい発見があり面白いのではないでしょうか?

実際にドローン本体を出して説明もしてくださいました。(夢中でお話しされるご主人の姿…ドローンへの情熱を感じます!)

先程の映像を撮影したものと、お客さんが体験する用の小型のもの、それぞれ見せていただきました。
(↑今は国土交通省に登録をしないといけないんだぞ〜という説明を受けているところです)

小型の方で試しに操作方法を教えていただきました。

どうやらスマホに接続してそこに撮影映像が映し出されるようです。

小川旅館さんでは、このドローンを宿泊客にも楽しんでもらいたいと、ドローン体験付き宿泊プランも用意されています。

蓬莱島周辺吉里吉里フィッシャリーナなどで実際に操作をして、映像を撮ることもできるようです。ぜひ興味のある方は問い合わせてみてはいかがでしょう?

きっと特別な体験になり、記憶に残る旅となることと思います。

▶︎20:30頃 食後のコーヒーとデザート

たっぷりご馳走をいただいて満腹状態でしたが、最後に女将さんの気まぐれお手製お菓子もありました!

この日はりんごのケーキでした。(すぐに食べ始めてしまい、写真は撮り忘れていました。。)
すでにお腹いっぱいの状態でしたが、別腹で食べれちゃいました。

こちらも絶品でした!(お菓子作りは、女将さんが思いついたら、すぐその瞬間に作り出し、お客さんに提供されているそうです)

本当にお料理やお菓子作りがお好きなんだな〜と伝わってきます。

ご主人の映像を楽しませていただき、女将さんのデザートをいただき、大満喫したところで、21時近くなっていたので、「ご馳走様でした〜、お休みなさい〜」と食堂を後にして、お部屋に戻ります。

▶︎21:30 就寝前

満腹状態で何もやる気が起きませんが、身支度をします。

お部屋のシャワー室内に、ちょっとした洗面スペースはありましたが、小さめなので、私は共同の洗面所で歯磨きをしました。

共同の洗面所は廊下の先にあり、部屋からは遠かったですが、広々していたので、人数がいても混雑は避けられそうです。

洗面所の奥の方には有料の洗濯機がありました。長期滞在の方向けにも対応しています。

小川旅館さんは震災の翌年から今の場所で営業開始されたので、特に復興関係者の方の滞在時にこの洗濯機は活躍していたのだろうなと想像します。

2階のお手洗いはオープンな作りだったので、気になる方は1階またはお部屋のものを使うのが良さそうです。

非接触型(手をかざすと自動で水が出るタイプ)の水栓でした。この水栓がコロナが流行したことを機に切り替えられたかはわかりませんが、やはり安心感があります。

コロナの流行により、どこも衛生管理への意識が上がったのは間違いないと思います。

食堂には二酸化炭素測定器があり、換気状態は常に確認して、感染予防を徹底しているというお話をご主人から聞きました。少しでも安心して泊まってもらえるよう、工夫を凝らしているのがとても伝わってきます。

▶︎22:00 就寝

さて、明日の朝も恒例の朝散策に出かけるので、早めに寝ることにします。

ベッドの布団は毛布とかけ毛布がシーツに覆われているスタイルでした。
しっかりとベッドにセットされていたので、私は(寝返りなどしやすいように)それを少し崩してから寝ました。

ベッドサイドには小さなコンセント付きテーブルと、小さなライトがありました。
部屋が寒いような気がしましたが、エアコンを付けっぱなしにすると乾燥が心配だったので、寝る直前に止めてから寝ます。

ちなみにベッドは硬めで、腰が沈み込みすぎないタイプでした。柔らかめが好きな方は、お布団の和室をお願いするのも良いかもしれません。

<2日目>

▶︎6:30 起床

おはようございます。目が覚めるとちょうど朝日が昇る瞬間でした。

(カタヤマはこういう時、基本的には目覚ましは設定していません。外が明るくなってきたのが気になって自然と目が覚めています)

どんどん山の方から登ってきているのがわかります。サクッと防寒対策をして、外に出かけます。

▶︎6:45 朝散歩

今回は起きてすぐ外に出ることができました。
ご主人に「小鎚川沿いがいいんじゃないか?」と前夜に言われていたので、行ってみることにします。

お宿の外観。まだ太陽が当たる前です。

お宿を出て、右手の道を進んで、小鎚川を目指します。(マップを見ずになんとなく、方向だけ定めて歩き進んでみました)

大きな集合住宅があったり、保育園があったり、住宅街を抜けていきます。

川の近くまでやってきました。この日は気持ちの良い晴れの日でした!

この青空をみるととても気分がいいです。

早朝ということもあり、他の物音もなく、川のせせらぎに耳を済ませます

周辺を散歩しているうちに一気に太陽が昇ってきます

やはり散歩するなら昇った後ではなく、徐々に昇る瞬間を目にするのが最高です。
旅の疲れが残っている時もあるかと思いますが、そこは早寝早起きで、ぜひ絶景を見逃さないで欲しいです…!

朝から清々しい気持ちになり、お宿の滞在がより特別なものになります。

川沿いだけにして、来た道でお宿に戻ろうかと思いましたが、違うルートも発見があるかもしれないと思い、私はあえてぐるっと遠回りをしてお宿に戻ることにします。

太陽のある方向に進むと、途中に国道45号線に繋がる階段がありました。

昇ると、この景色です。地元の人にとっては、日常的に目にする景色だと思いますが、歩いてみると、車で走っているのとは全く違う感覚です。

こんなにすぐ近くに山があることもですが、今はその山に少しだけまだ雪が残っているのが見られます。

シーサイドタウンマストは大槌町内の大型ショッピングセンターです。

大槌町が舞台のモデルの一つとなったアニメ映画「岬のマヨイガ」では、「キツネマート」として登場することでもお馴染みです(詳しくはこちら…https://otsuchi-ta.com/anime/)

そのすぐ裏が山で、夏はとても青々としていたり、秋は色鮮やかな紅葉を見せてくれたりします。私の目には、そのちょっとした日常の風景の中に溶け込む四季の変化がとても魅力的に写ります。

歩道を進んでいくと、ガードパイプには鮭の絵が描かれています。歩いていると、大槌町を象徴するものを町の各所で表現しているものを発見する機会が増える気がします。

「私の町にはないものがあるな〜」という観点で探しながら歩くのも楽しいです。

ぐるっと歩いているうちに、小川旅館さんの建物を発見。横からみると、建物自体の奥行きが長いのがわかります。

小川旅館さんに入るのにどこで曲がるかつい忘れがちですが、茶色と緑の「おおつちこども園」の看板が出ているところを右折です。

▶︎7:30 朝食

散策から帰ってきたところで朝食です。

昨晩と同じく一番奥のテーブルに席を準備してくださっていました。

色合いがカラフルで元気な気持ちになる朝食!ランチョンマットもかわいいです。

納豆はパックの状態ではなく、器に盛ってネギまで添えられていました…!確かにこうすると見栄えがとても綺麗です。(思わずアップ写真を撮影)

手作りの朝食は有り難いですし、美味しいです。

中でも、特に、カタヤマの一押しはこの「苺ジャム」です。

よかったらヨーグルトにかけて食べてくださいね〜と声をかけていただいたのですが、こちら、まさかの女将さんお手製のジャムでした。

苺の甘みが凝縮されていて、程よい酸味があり、口当たり滑らかな味でした。今までいろんなジャムを口にする機会はありましたが、今まで食べたジャムの中で一番感動した苺ジャムでした。

煮込み作業も味を整えるのも手間がかかるだろうに、それをわかっていて、手間暇かけて作られたもの。。この味をたくさんの人に知ってもらいたいです。後日レシピを教えてもらいに行こうかと考えるほどです。

とても至福な時間でした。

夜もありましたが、なんと朝もデザートにケーキがありました…!
まだ昨日のお食事で満腹感が残っていた私は、ケーキをお持ち帰りさせていただきました。

▶︎9:30 チェックアウト

身支度を済ませ、荷物を持って1階に降りてきました。

特に今回の滞在中は使用することがありませんでしたが、玄関横にはちょっとしたロビー?のような空間もありました。

チェックアウト手続きを済ませます。 現金以外の支払い方法(スマホ決済サービスPayPay / auPAY / メルペイ / d払い)もあります。

手続きを終えると、ご主人に「出てすぐのとこに、湧水のスポットわかるか?」と聞かれました。
「ポコポコっとなるところがあるんだ」と一緒に外に出て案内していただきました。

外に出て徒歩1分もしない場所です。気になる方はぜひご主人に聞いてみてください。

雪が溶けたところで水の量が多いからか、ポコポコとしている瞬間はみることができませんでしたが、確かに透き通っていてとても綺麗な水が流れていました。

一見シャイに見えるご主人は、ちょっと聞いてみるとどんどんいろんなこと教えてくれるとても親切で、好奇心旺盛な方でした。

最後にはご夫婦揃って玄関口まで出てお見送りしてくださいました。

「また来ますね〜」と言って後にしました。

小川旅館 絆館に至るまで

小川旅館さんは幕末から震災前までは大槌駅の近くで、震災翌年から現在の場所で、営業を続けられています。

(以前のお宿があった場所がわかる写真が1階のソファエリアに飾られていました。)

女将さんは二十歳の頃から旅館で働き始め、初めの数年間はほとんど記憶に無いほど、必死に働いたそうです。
その後、30歳ごろで代替わりされ、先代の女将さんであるお母様から旅館を引き継ぎました。

震災を経験され、さらに老舗旅館だからこその重圧に悩みながらも、小川旅館を今へ繋いでいます。

「震災翌年に再開」を実現するということに、当時相当な覚悟を必要としたことと思います。今はとっても穏やかな笑顔のご夫婦の背景にはたくさんの苦労があったことを感じます。

(ブレてしまいましたが、笑顔が素敵なご夫婦です)
女将さんへのインタビューを通して、感じ取ったこだわりを私なりにまとめさせていただきました↓

震災後、女将さんがこだわるようになったこと

・できるだけ、たくさんの品数を出すこと
ー「震災前、旅館では7品を並べるよう習ってきたけれど、震災を経て今は品数をさらに増やして出している。それは、震災直後に自分たち自身が(食べ物がなく)食べることができない2日間を過ごした経験があったから、お腹いっぱいになって欲しいという願いがある」からとのこと。

・「旅の我が家」と感じてもらうこと
ー「(町外や県外へ避難された方や家庭の事情などで自分の故郷に)帰りたくても帰ることができない人に、『帰ってきた』と思い出せるような、家庭料理を出し、自宅として過ごせるような宿でありたい。」
「お父さん、お母さん」と呼んでくれるお客さんがいたり、「いってきます、すぐ帰ってくるね」と出発する人もいるそうです。

女将さんは「パンやお菓子はプロのように綺麗に形の整ったものではないけれど、『お母さんが作ってくれたのを思い出して懐かしい』という声をもらえるのが一番嬉しい瞬間なんだ」と話します。

・人と人の繋がりを大切にする「絆館」であること
ー「震災を理由に、再建できなかったと言いたくなかった」「お客様あっての自分たちであり、大変な状況でもお客さんからのメッセージに支えられ、今がある。大槌から人と人が繋がっていき、いつか、本来の小川旅館に近づけたらいいなと願う。」

・自然体でやっていこう
「1日1日を無事に過ごせることに感謝したい」、「悔いのない毎日を送りたい」とインタビュー中に言葉にされていたのが印象に残りました。

昨年4月に移住してきて、お仕事で何度かお話しする機会がありましたが、今回の宿泊体験を通して、初めて『絆館』への想いや背景を感じ取ることができたように思います。

背景を全く知らない方にとっては、きっと一般的にイメージする「旅館」とは違う印象を受けることがあるかもしれません。

「震災を経て、今の『絆館』が生まれた」ということが一人でも多くの人に届いて欲しいなという願いを込めて、読んでくださった方にはぜひこの記事を、SNSでの拡散にご協力いただけたら幸いです。

ちなみに、小川旅館さんは定期的にfacebookでも発信をされています。

https://www.facebook.com/OtsuchiOgawaRyokan

投稿の最後には、「お泊りさおでってくたさんせ。(*’▽’)」
「また、明日も寒い一日になりそうですので、暖かくしてお過ごしくださいね。」

と、大槌の方言や、気配りの言葉があったり、女将さんの温かいお人柄が出ているなと感じる投稿です。

気兼ねなく泊まりに来ることができる日を楽しみに、ぜひSNSをフォローしてみてはいかがですか?

今回で宿泊記シリーズは終わりとなります。大槌町のお宿の魅力を知っていただく機会となっていたら嬉しいです。

大槌町には、この企画ではご紹介しきれなかったお宿(ホテルや民泊など)があります。ぜひ下記のリンクに情報をまとめておりますので、参考にしてみてください。

https://otsuchi-ta.com/stay